兼本 正光 GKコーチの紹介

決して忘れることのない 1997年5月10日。

神戸総合運動公園ユニパー記念競技場での対ヴェルディ川崎戦。

Jリーグ・ヴィッセル神戸の選手として初ピッチに立ち、当時付き合っていたまだ彼女だった現在の妻にその姿をみせられた!

 それが、私のサッカー人生最高の瞬間でした。

Jリーグが開幕した時、私は当時の川崎製鉄水島寮のテレビでその様子を見ていました。
ブラウン管画面に映っている見知った顔の中には、かつての一緒に戦った川崎製鉄サッカー部のチームメイトもいました。
その姿は自信と共に輝いていて、とても羨ましかった。

当時、あの輝く舞台に選手として呼ばれなかった悔しさはもちろんありました。
ですが、私は諦めませんでした。


「自分も絶対、あの場所に選手として立つ日がくる」
 

ただそれだけを信じ、トレーニング欠かすことなく毎日毎日続けていました。

 

「努力し続けること」
「繰り返し基礎トレーニングをしなさい」

 

これは、私が選手たちにずっと伝えていることです。

なぜなら、チャンスはいつ巡ってくるかわからないからです。

 


私は高校を卒業した1981年から2004年までの24年間社会人、プロ、OB選手など立場は異なるかもしれませんが選手として活動してきましたが、ずっと試合に出られたわけではありません。

2,3年ベンチを温める日が続き、《選手引退》の文字が頭をよぎったこともあります。
 

しかし、チャンスが巡ってきた時に備えていれば、いつかその瞬間がやってくるのだと思い、試合に出られない日も1日もトレーニングは欠かすことはありませんでした。

 

努力したからと言って、すぐにそれが自分の願う結果に繋がるわけではありません。

それは、今のHAJAXSの選手たちにも言えることです。

中学生時代は自分が望んだ結果を得られなくても、中学で努力し続けたことで高校で才能が花開くケースを私は数えきれないくらい見てきましたが、その選手たちに共通することが2つあります。

 

それは、《素直さ》《自分を諦めない心を持っている》ことです。

 

例えば、私の教え子の中に現在J2のカマタマーレ讃岐で活躍する瀬口 拓弥選手がいます。

彼は、最初からキーパーとしての才能が高かったわけではありません。

ですが、彼の才能はまさに《素直さ》と《諦めない心》でした。

 

ゴールキーパーはチームの勝敗を決する要です。

もしキーパーに隙があれば、どれだけ得点を獲得したとしても、チームは負けてしまうことがあります。

 

これは、チームにとってマイナスなだけではありません。

「自分のせいで負けてしまった」

この重圧は、プロ選手でも心を病んでしまうこともあります。

だから、私は選手が自分自身を守れるように、キーパーとして能力を上げ、強くなることが重要だと考えています。

 

そのため、瀬口選手にも理不尽なことや当時の彼のレベルに合わない要求もしたこともあったかもしれません。

 

しかし、彼は指導されたことに対して不機嫌になったり、諦めたりすることはありませんでした。

その上、「自分はまだまだ上手くないから」と練習前に毎回自主練を行い、滝のような大汗をかいてからトレーニングを開始していました。

 

もしかしたら、選手たちを取り巻く環境は移り変わっていますので、瀬口選手のような例は合わないと考える人もいるかもしれません。実際、私たちも今の選手たちのことを心から思うならば、指導者側も指導法や考え方の転換期として受け入れなければならないと感じています。

 

それでも、私が試合に出て欲しいと願うのは、瀬口選手のように素直に頑張る子です。

コーチは選手の才能を伸ばすことはできません。

しかし、才能を伸ばす機会を提供することはできます。

自分の能力を伸ばすことができるのは、いつか巡ってくるチャンスを掴むために、他者の話に耳を傾けられる素直さと自分自身の才能を信じて努力を継続できる自分自身だけです。

 

HAJAXSでの3年間は、ちまたに溢れている優しく耳障りの良い言葉ばかりではないかもしれません。

また、サッカーには、楽しさと苦しさと悔しさが一体となってついて回る時も多々あります。

 

しかし、諦めることなくHAJAXSの3年間を乗り切り、やりきって欲しいと願います。

 

なぜなら、その努力は必ずその先に待っている自分の未来に繋がり、

自分にとって必要な《強さ》を手に入れられるようになるからです。

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